カードローンは銀行によって商品に設定された限度額が異なります。限度額は銀行によってどのように異なり、誰もが限度額まで借りることは可能なのでしょうか?
また、カードローンには借入限度額を増やす増額・増枠という手続きがありますが、限度額が一杯になった時には増額・増枠の申請や審査はどのような基準で行われるのでしょうか?
主なカードローンの限度額
メガバンク、ネット銀行、大手消費者金融カードローンの融資限度額は以下の通りです。
※ご利用限度額50万円超、または他社を含めた借り入れ金額が100万円超の場合は源泉徴収票など収入を証明するものが必要です
銀行 | ご利用限度額 |
三菱UFJ銀行カードローン | 最高500万円 |
三井住友銀行カードローン | 最高800万円 |
みずほ銀行カードローン | 最高800万円 |
レイクALSA | 最高500万円 |
ジャパンネット銀行 カードローン | 最高1,000万円 |
住信SBIネット銀行カードローン | 最高1,200万円 |
ソニー銀行カードローン | 最高800万円 |
楽天銀行スーパーローン | 最高800万円 |
auじぶん銀行カードローン | 最高800万円 |
オリックス銀行カードローン | 最高800万円 |
アコム | 最高800万円 |
プロミス | 最高500万円 |
アイフル | 最高800万円 ※ |
SMBCモビット | 最高800万円 |
三井住友カード ゴールドローン | 最高700万円 |
各社融資金額にばらつきがありますが、誰でも限度額まで借りることができるわけではありませんし、むしろ限度額を借りることができる人の方が少ないです。
また。カードローンごとに設定された最低金利は融資限度額に対して適用されることがほとんどです。
限度額が高いローンほど最低金利は低く設定されており、筆者が銀行員時代には、限度額と最低金利は実際にはほとんど使用することがない「客寄せパンダ」的な効果が主になっていると、商品企画の担当者の話を聞いたことがあるほどです。
限度額はどういう基準で決まってくるのか?
商品ごとに設定された限度額はどのようにして決めているのでしょうか?
銀行系カードローンの限度額は銀行がどのような層をターゲットにしてカードローンの商品設計を行っているかによって異なります。
例えば、三菱UFJ銀行カードローンの限度額はカードローン各社の中でも平均的な500万円です。また、三菱UFJ銀行のカードローンは収入確認資料の提出基準が50万円超からの借入となっています。
銀行は申込時に申告した収入は収入確認資料の提出金額に満たない場合には審査の際にはそれほど参考にしていません。これは何を意味するかと言えば、200万円以下の少額融資を希望する人が申し込みやすい商品設計になっているということです。
一方、みずほ銀行は限度額800万円まで融資可能です。
みずほ銀行はある程度の所得がある人が子供の教育費などの高額支出に対応できるように設計された商品であるため限度額は高めに設定されています。
ネット銀行各社はおまとめ用にカードローンを利用するように促している側面が強いという印象です。
おまとめローンの場合にはカードローンの利用額が数百万円に上ってしまう場合も往々にしてあるため、融資限度額は高めに設定されています。
後述しますが、消費者金融のカードローンでは現実的に最高金額の融資を行っていませんし、借りること自体不可能です。こちらの場合には完全に客寄せパンダの意味合いであると言えるでしょう。
※上記の線引き消しについて
2017年の銀行カードローン問題に端を発した銀行各社の自主規制により、おまとめローンの訴求はNGとなりました。実際のおまとめローンも縮小・廃止の方針をとる銀行が増えました。
各社の最大限度額の金額枠の審査が通る人はどういう人?
それでは、商品ごとに設定された最大限度額の金額枠を借りることができるのはどのような人でしょうか?
銀行系カードローンの融資金額の1つの目安としては、年収の半分程度と言われています。また、いくら多くても年収以上の金額を借りることはできないと言われています。
そのため、例えば最高限度額800万円であるみずほ銀行のカードローンで限度額いっぱい借りようと思ったら、最低でも年収800万円が必要になるということです。
また、融資限度額は他のカードローンやフリーローンなどの無担保で使い道自由な借入と合わせて年収と同程度もしくは年収までと言われています。
例えばすでに200万円他社のカードローンを利用していた場合に1,000万円を借りようと思ったら年収1,200万円は最低でも必要になるということです。
一方、消費者金融の融資限度額は法律によって年収の3分の1以内と決められています。
SMBCモビットの最高限度額は800万円ですが、SMBCモビットで800万円借りようと思ったら、その3倍の2,400万円の年収が必要となります。年収2,400万円の人が消費者金融に申し込む確率は非常に低いため、実質的に消費者金融は最高限度額の融資を行っていません。
限度額の増額・増枠をしたい場合はどうしたらよいの?
カードローンが限度額に達してしまった時は借入限度額を増やす増額・増枠という手続きがあります。
新規で他のカードローンを申し込んだ場合には多重債務状態になって信用状態が著しく低下してしまう可能性もあるため、できれば他のカードローンを申し込む前に増額・増枠の申込を行うことをおすすめします。
特に消費者金融は総量規制によって、消費者金融全体から借りることができる枠が限られていますので、消費者金融は増額・増枠に積極的です。
例えば年収300万円の人はその3分の1である100万円までしか借りることができません。消費者金融とすれば、限られた100万円の枠を他社に取られてしまうくらいであれば自社で借りてほしいと考えているため、増額・増枠に積極的なのです。
増額・増枠の申込は電話やインターネットのマイページなどから簡単に行うことができます。ただし、増額・増枠には審査があるため、誰もが増額・増枠ができるわけではありません。
増額/利下げ案内
事前にローン会社が審査してから連絡する場合
「当行では定期的に再審査を行っております。
今回こちらで○○様のご契約についてお見直ししたところ、
○万円/○%に契約を変更することが可能という結果が出たので
ご連絡致しました。
もし○○様にご了承いただけるようなら、こちらの内容ですぐに
契約変更しますが、いかがでしょうか?」
顧客に連絡してから希望を聞いて審査する場合
「現在は○万円/○%でご契約いただいておりますが、
限度額や利率をお見直しする再審査もいつでも可能です。
○○様の場合、今回は再審査によって契約変更できる可能性が高いので
ご連絡させていただきました。
もしご希望があれば当行で審査を致しますが、いかがでしょうか?」
どちらの場合も、顧客の了承がない限り契約変更はできません。
業者側が勝手に「増額しておきました」「利下げしておきました」というのは
おそらく無いと思います。
こういった業者側からの電話営業だけでなく、
顧客側からも増額希望の電話がじゃんじゃんかかってきます。
希望があればその都度審査をして、後で結果を連絡するという形です。
追加利用案内
他社借入分のまとめを勧める場合
「もし他の金融機関でお借り入れがあるようでしたら、
利率によっては当行に一本化したほうがご負担が軽くなるかもしれません。
他社様の限度額や利率、利用額など教えていただければ、
是非ご相談に乗りたいと思うのですが、ご検討いかがでしょうか?」
追加利用の特典があるキャンペーンなどを行っている場合
「現在、期間限定で、○万円以上のお借り入れで利息をキャッシュバックする
というキャンペーンを行っております。
もし近々ご利用予定があるようでしたら、この機会にいかがでしょうか?」
増額・増枠の審査が通らない人はどんな人?
増額・増枠の申込を行ったけど審査に通過できない人には主に以下の理由が考えられます。
①既存のカードローンの返済に遅れがあった
②属性が新規借入時よりも低下していた
③増額・増枠をすると年収を超える金額になってしまう
④新規借入時から日が浅い
① 既存のカードローンの返済に遅れがあった
銀行にとって、期日通りに返済ができている人は優良なお客様です。しかし、返済に遅れがあった瞬間に延滞者となり、不良債権一歩手前になってしまいます。
期日通りに返済を続けていれば銀行に対する信用力はどんどん向上していく一方、遅れがあると銀行にとっての信用力はどんどん低下していきます。
返済に遅れがある人が増額を申し込んでも「今の融資金額でも遅れているのに、増額したら返済が今より苦しくなるかもしれない」という懸念を持たれて増額・増枠審査に通らなくなる可能性があります。
② 属性が新規借入時よりも低下していた
増額・増枠の審査の際にも基本的に勤務先の在籍確認を行います。
この際に前回に申し込んだときと勤務先が変わらない場合には問題はないのですが、勤務先が変わっていると、勤続年数が少なくなってしまい審査にはマイナスです。
また、年収も同様で、前回申込時よりも年収が低くなっている場合には審査に通過できないばかりか、反対に減額を言い渡される可能性すらあります。
③ 増額・増枠をすると年収を超える金額になってしまう
前回申込時と年収が変わっていなくても増額・増枠をした結果年収以上の借入になってしまう場合や、消費者金融での借入で年収の3分の1を超えてしまうような場合には増額・増枠を断られてしまうこともあります。
初回借入時に自分の年収から鑑みてギリギリを借りている場合には、このような理由で増額・増枠を断られてしまうことも珍しくないようです。
④ 新規借入時から日が浅い
一般的に増額・増枠の申込は新規にカードローンを作成してから半年以上は経過していないと審査には通過できないと言われています。半年程度は利用しないと、その人の信用力を図ることができないためです。
このため、前回申込から半年も経過していないのに増額・増枠申請を行っても増額・増枠を断られてしまうこともあります。
希望の増額・増枠を満たすにはどうしたらよい?
希望の増額・増枠を満たすためには、基本的に既存の借入金の返済に遅れがないことです。
また、融資金額と年収は関係していますので、銀行系カードローンであれば希望額の倍程度の年収があること、消費者金融であれば希望額の3倍以上の年収があることです。
さらに、転職すると勤続年数がリセットされて属性が悪化しますので、増額を希望している人は転職前に増額の申込を行うことをおすすめします。
つまり、年収を増やす、勤続年数を増やす、期日通りの返済を積み重ねて銀行や消費者金融の信用力を高めることの3つの条件があれば増額・増枠審査に通過する可能性が高くなります。
この間に他のローンの借入を行わないことも重要です。
銀行や消費者金融は毎年1~2回顧客の増額・増枠の審査を行っています。
この際に増額・増枠の審査に通過した人はATMの画面や電話で増額・増枠の案内が来ますので、そのような人は上記の条件を満たしている人は増額・増枠の審査に通過することができると言われています。
増額・増枠の審査が落ちた場合に、他社に申し込んで審査は通る?
増額・増枠の審査に落ちた後に他社の審査に申込んでも審査に通過できる可能性はあります。
例えば200万円のカードローンを250万円へと増額・増枠を希望した場合に増額・増枠審査に落ちた時、他社へ50万円の新規借入を申し込んだような場合です。
増額・増枠の場合には1社で250万円のリスクを引き受けなければなりません。
200万円ならリスクを負うけど250万円のリスクは厳しいというような場合は、他社であれば50万円程度の少額のリスクであれば引き受けてくれる可能性があるためです。
1点だけ注意しなければならないのは、同じ保証会社のカードローンへ申し込まないという点です。
銀行系カードローンには保証会社が必ずついており、返済が滞った際に保証会社は銀行へ貸付残高を保証します。このため、リスクを負っているのは保証会社です。
例えば、三井住友銀行カードローンと
ジャパンネット銀行カードローン(ネットキャッシング)の保証会社はプロミスです。
保証会社が同じカードローンへ申込を行っても、リスクを負う会社が同じですので、審査に通過できない可能性は高くなります。増額を断られたら別の保証会社のカードローンへ申し込むようにしましょう。
保証会社と銀行カードローンの関係について
もっと詳しく知りたい方は下記のページへ↓
カードローンの保証会社とは?銀行と保証会社の関係と審査基準&保証人との違い
また、銀行と消費者金融の審査は全く別ですので、銀行の増額審査に落ちてから、消費者金融に申し込むのは審査に通過できる可能性があります。