カードローンは事業資金以外には何に使用しても自由なローンです。
ネット銀行のカードローンなどのホームページにはカードローンの使い方として「借り換え」や「おまとめ」などへの使用事例が紹介されていますが、カードローンで借り換えを行うとはどのようなことなのでしょうか?
また、メリットはどの程度あるのでしょうか?
また、金融機関にはおまとめローンという商品がありますが、カードローンとおまとめローンはどのような違いがあるのでしょうか?
カードローンの借り換えのメリット
カードローンで借り換えを行うということは、複数の借入金を金額の大きい1本のカードローンにまとめるということです。
カードローンで借り換えを行うことによって以下の4つのメリットがあると言われています。
・複数のローンを1つにまとめると返済金額が低くなることが多い
一般的にカードローンは借入金額によって毎月の返済額が一定となっています。
例)
A社カードローン:借入額50万円:毎月返済額10,000円
B社カードローン:借入額80万円:毎月返済額20,000円
C社カードローン:借入額70万円:毎月返済額15,000円
この場合には3社合計で200万円、毎月返済額45,000円の借入があることになります。
このように借り換えには毎月返済額を少なくすることができるというメリットがあります。
返済日が同一になる
複数のカードローンはそのカードローンの数だけ返済日が異なることが一般的です。
1ヶ月の間に複数回返済日があると、返済日をうっかりして忘れてしまうこともありますし、毎月何回も支払いがあると返済に追われて疲れてしまいます。
1本のカードローンへ借り換えを行うことで、複数の返済日を同一日にまとめることができますので、支払い日が1ヵ月の間に何度もあるというデメリットを無くすことができます。
金利が低くなる
カードローンは金額が多くなればなるほど金利が低くなっていきます。
カードローンの金利は利息制限法という金利を根拠に決まっています。
利息制限法の上限金利は以下の通りです。
10万円未満:20.0%
10万円以上100万円未満:18.0%
100万円以上:15.0%
多くの消費者金融の最低金利は18.0%に設定されていますが、この金利は利息制限法の上限金利を根拠として決まっています。
数十万円単位の少額融資を基本としている消費者金融は法定金利ギリギリの金利で融資を行っています。
このため数十万円単位の消費者金融からの複数の借入を1本のカードローンへ借り換えて100万円を超える場合には、金利は確実に15.0%以下へと引き下がるということになります。
多重債務状態から解放される
3本~4本の借入がある人は多重債務者となり、審査の際にはブラックと同じ扱いになって他の借入やクレジットカードなどの審査に通過できないことが多くなります。
金額にかかわらず複数の借入がある人は1本の借入金の返済を他のカードローンの借入金から行うことが多くなる傾向にあります。
借入金の返済を借入金から行うと、借金が雪ダルマのように膨らんでしまうことが多いため、多重債務者はブラックと見做されることが多くなります。
借り換えを行って複数の債務を1本化すれば、多重債務ではなくなりますので、他の審査に通過しやすくなります。
住宅ローンなどの借入を検討している時にはぜひとも借り換えによって債務を1本化することをおすすめします。
カードローンの借り換えのデメリット
よいことばかりのように見えるカードローンの借り換えですが、少なからずデメリットもあるため把握しておきましょう。
・借入額が大きくなるとそれなりの収入が必要
借り換えは複数の債務を一本化するものですので、借入額が大きくなる傾向にあります。
借り換えローンと言えども、誰でも借りることができるわけではありません。
銀行系のカードローン借入限度額は年収の半分程度などと言われています。
そのため、年収の低い人でも少額のカードローンを複数枚作成することは可能ですが、年収の低い人が高額のカードローンを作成することは困難になります。
誰でも複数のローンをまとめることができないという点はデメリットになります。
結果的に利息負担が大きくなる可能性
借り換えは残り期間の少ないローンも長いローンもまとめて1つのローンにするというものです。
このためいくら金利の高いローンを低いローンへまとめたとしても、金利の高いローンの残り期間が短い場合には、結果として借り換えを行ったことによって利息負担が大きくなってしまう可能性があります。
例)金利18%残金20万円のA社ローンを金利10%期間10年で借り換えた場合(A社ローン部分のみ)
借り換え前:毎月返済額10,000円、返済期間2年、利息負担約40,000円
借り換え後:毎月返済額2,643円、返済期間10年、117,160円
このように、借り換えによって返済期間が延びてしまうといくら金利が低くなっても利息負担が倍以上になってしまうことも決して珍しくないため、個別のローンの利息負担が増えるのか減るのかをシミュレーションしてから借り換えを行う必要があります。
毎月の返済額や利息がいくら低くなっても結果的に損をしてしまう場合もあります。
自分で返済しないと結果的に借金が増えるリスクがある
カードローンで他債務の借り換えを行う場合には、カードローンの融資先は既存の借り換え前の債務の返済を行ってはくれません。
あくまでも、自分で新規で使ったカードローンからお金を借りて、自分の手で返済の手続きを行う方法です。
このため、借り換え目的で借りたカードローンを甘い気持ちで借り換え以外の用途に使ってしまうと、結果的に新規の借金が既存の借金に重なり、返済額が大きくなってしまう可能性があります。
「自分で返済をすればいいなら簡単だ」と思いがちですが、筆者は銀行員時代に借り換え目的で借りたローンを借り換え以外の目的に使ってしまって、結果的に借金の額がさらに増えてしまったという例を何度も目撃しています。
カードローンはいくら借り換え目的で作成しても、一度借りてしまえば何に使っても自由ですので、しっかりと借り換えを行うのであれば自分の意思の強さが重要になります。
カードローンでの借り換えとおまとめローンの違い
銀行にはおまとめローンという商品があり、この商品は他債務のおまとめを専用に行うローンです。
カードローンは何に使用してもよいのでおまとめにも使用することができるのですが、カードローンによる借り換えと、おまとめローンによる借り換えとはどのように異なるのでしょうか?
おまとめローンは資金使途の確認が必要
おまとめローンは借り換え専用のローンです。
そのため、いくらの債務を何本まとめるかの確認が必要になります。
具体的には借り換えるカードローンの残高を証明できる書類の提出が契約時に必ず必要になります。
おまとめローンは原則的におまとめ金額までしか借りられない
おまとめローンは他債務の借り換えにしか使用することができない商品です。
そのため、契約時に提出した既存債務の残高証明書の金額までしか融資を受けることができません。
カードローンは他債務が150万円であったとしても200万円や300万円と借りることが可能であるのに対して、おまとめローンは他債務の金額までしか借りることはできませんので注意が必要です。
おまとめローンは借り換えるローンの返済が必須
おまとめローンはローンで借りたお金を本当に借り換えに使用したかを確認するため、融資後に「確かに返済した」という証明書類である完済証明書の提出などが必要になります。
先ほど述べたようにカードローンで借り換えを行う場合にはそのような証明書類の提出は一切不要で返済も自己責任ですので、おまとめローンの方が融資後の管理も厳格で少し面倒であるともいえるでしょう。